ZAITEN2024年09月号

警察の隠蔽体質にこれ以上耐えられない 〝腐ったみかん〟の警察組織に正義を貫く

【インタビュー】「ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録」元警視庁捜査一課 佐藤誠

カテゴリ:インタビュー

『ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録』
文藝春秋/1,500円+税

さとう・まこと―警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係、通称「サツイチ」の元警部補。1983年、警視庁に入庁。2004年に捜査一課に配属された。22年に退官。

 2006年、安田種雄さんが遺体で発見され、管轄の警視庁大塚署が捜査しました。その段階での警察の手続きがめちゃくちゃだったことは『ホンボシ』(文藝春秋)にも書きました。「立件票」は事件性が疑われる事案に対して、検察官が交付するもので、番号がふられて管理されます。立件票が交付されると、警察は捜査を尽くし、事件性の有無を明記した報告書を検察へ送致します。  

 つまり、この「立件票交付事件」では、警察は事件を結論できる立場にありません。  私個人の一方的な考えと思われたくなかったので、この辺りを本に詳しく書きました。露木康浩警察庁長官が記者会見の場で、「事件性がない」と発表しましたが、こんなことこれまでの刑事人生で聞いたことありません。  

 芸能人を含めて有名な方が亡くなるとテレビで報道されますが、これはマスコミが騒いでいるだけであって、警察も検察も絶対に発表はしません。自殺は〝伝染病〟と言われていて、社会への影響力が大きく、後追い自殺が起きてしまうためです。〝事件のイロハ〟を無視した露木長官の発言には違和感しかありませんでした。  

 実名、顔出しで告発した一番の理由は、遺族の方にとっては、どう考えても理不尽で、あまりにもひどい仕打ちだと思ったからです。あとはもう勢い。警察庁長官ともあろう人が、殺人事件を自殺にして隠蔽するなんて絶対に許せません。 時が選んだ  『週刊文春』の記者が尋ねて来た時期は、既に私が警察を退職していたタイミングだったので、しがらみがない状況でした。ひとりでは何もできないので、発信力がある文春と手を組みました。  

......続きはZAITEN9月号で。

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