ZAITEN2024年09月号

月刊ゴルフ場批評83

「大利根カントリークラブ」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

S_2409_ゴルフ_大利根西17番.jpg 今年はJGA(日本ゴルフ協会)創立100周年。記念すべき年とあって主催競技開催コースも、歴史ある名門で占められている。

 すでに終了した日本女子アマが「我孫子ゴルフ倶楽部」(千葉県)、日本アマが「廣野ゴルフ倶楽部」(兵庫県)。また、3大オープンは日本オープンが「東京ゴルフ倶楽部」(埼玉県)、日本シニアオープンが「千葉カントリークラブ川間コース」(千葉県)、そして日本女子オープンは今回のターゲット「大利根カントリークラブ」の西コースというわけだ。  

 大利根CCといえば東西36ホールを擁し、フラットな地形に各ホールが贅沢に散りばめられた井上誠一設計のクラシックな林間コース。難点はやや変化に乏しく印象に残るホールが少ないというのも定説になっている。

 その大利根CCが、川田太三氏の改修によって大変貌を遂げたようだ。日本女子オープン開催前に行かねばなるまい。  

 高速を降りてからの下道で通勤渋滞にハマるとやっかいなので、早めに着くのが大利根CCのトリセツ。素晴らしいコンディションのアプローチグリーンが2面あるし、ドライビングレンジも屋根付きだから、退屈することはない。

 この日も開場前に到着。ハウス周りをウロウロしていたが、今までの大利根CCとはだいぶ違う。  

 ハウス周りは噴水やら灌木やら純和風な庭園イメージだったが、今はものすごい開放感だ。コースは鬱蒼とした松林が代名詞だったのに、樹々の合間から、さらにその先のホールまで見渡すことができる。

 松は1000本以上伐採したそうで、余計な人工物は大胆に排除。レイアウトを変えたわけでもないのに、印象ってこんなに変わるもの? コースの左右から迫り出す松林で形成されていた「空中ハザード」も、少しおとなしくなったようだ。

 それでも名匠・井上マジックは健在。これだけ開放感があるのに、ホワイト&レッドの2グリーンそれぞれに独立した攻略ルートが設定され、パーオンが狙えるエリアが限られている。  

 特筆すべきはグリーンやバンカーの形状。段グリーンや砲台で変化を持たせ、バンカーの位置もグリーン面を抉るかのように近くなり、各ホールの印象がぐっと際立つようになった。

 名物はやはり西コース17番パー4。左は池が迫っているのに、右サイドに打つと立木越えになる。グリーン周りもシビアになり、優勝争いのキーホールとなるだろうから、観戦が楽しみだな。  

 こうして名門ならではの豊富な資金力も目の当たりにしたわけだが、残念なのは不可思議なドレスコードだった。短パンの際はハイソックス、もしくは白のアンクレットソックスのみOK。その中間の丈、いわゆるビジネスソックス(クルー丈)は不可だそうで、公式サイトではご丁寧にもアンダーラインで強調されている。

 だけど、そんなに目くじらを立てるほどかね。大改造によって新たな歴史を踏み出そうとしているのに、名門は名門なんだなぁと少し水を差されたかな。

●所在地 茨城県坂東市下出島10 ●TEL. 0297-35-1344 ●開場 1960(昭和35)年10月9日 ●設計者 井上誠一 ●ヤーデージ 東18ホール、7129ヤード、パー72 西18ホール、7121ヤード、パー72

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