ZAITEN2024年09月号

「天下り」というニンジンにメロメロ

【特集】北尾SBIの「政商ビジネス」を支える金融庁OB

カテゴリ:政治・国際

「背信」の金融庁

井藤英樹「制度屋長官」就任で前途に暗雲......

 SBIホールディングス(HD)会長兼社長の北尾吉孝(1974年野村証券)が盟友だったソフトバンクグループ総帥の孫正義と袂を分かち、自前のネット金融帝国作りに乗り出してから四半世紀。売上高に当たる連結営業収益は1兆円を超え、証券口座数では業界最大手の野村証券を大きくしのぐほどに膨張した。事業分野も祖業のネット証券から銀行や保険、フィンテック、再生可能エネルギー、半導体工場の建設にまで広げる意気軒昂ぶりだ。

 北尾は「金融を核に金融を超える」などと嘯いているが、これほど急成長を遂げられた背景には、与党政治家や霞が関官庁と親密な関係を築き、規制緩和や許認可、補助金などを巧みに引き出してきたことが影響している。そんな異形の「政商ビジネス」を支えてきた中心的な存在が、元長官からノンキャリクラスまで多くの官僚OBを天下りさせてきた金融庁である。金融界では異常とも言える官民の癒着ぶりに批判が出ており、国民や投資家の利益が搾り取られないか、注視する必要がある。

金融庁高官OBが天下り

「縁と善の好循環」。北尾は創業25周年を目前に控えた今春、こんなタイトルの自著を上梓した。お得意の仏教の思想を引っ張り出して「想いを持つ人とつながり『縁』ができることで社会のために善きことが創造できる」などと唱える説教じみた内容だ。SBIにとっての最大の「縁」とは、グループ企業への金融庁OBの大規模な天下り受け入れと引き換えに金融行政を意のまま動かすことができる立場になれたことでないか、と皮肉りたくもなる。

......続きはZAITEN9月号で。

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