ZAITEN2024年10月号
一時国有化された「じもとHD」の二の舞に
【特集】弱小地銀「取引先ゾンビ企業」は死屍累々
カテゴリ:企業・経済
「俺たちがどうなろうと、知ったこっちゃないということか」(関東地方の下請け企業経営者)
日銀総裁の植田和男が利上げに積極的な〝タカ派〟に豹変したことは、金融市場だけでなく、中小・零細企業や地域金融機関をも動揺させた。株価大暴落を受けて、副総裁の内田真一がハト派姿勢をことさらにアピールしたものの、「狙いはあくまで目先の株価対策」と受け止められ、日銀は今後も利上げ路線を推し進めると見ているからだ。
7月利上げを受けてメガバンクや主要地銀は早速、短期の貸出金利の基準となる短期プライムレートの引き上げに動いており、大企業・中堅企業でも借り入れ過多で業績の振るわないところは、利払い負担の膨張で再編・淘汰を迫られる可能性がある。経営体力が脆弱な取引先企業を多く抱える地方の第二地銀などは倒産を誘発しかねない貸出金利の引き上げを躊躇する一方、預金金利アップを求められ、経営に汲々とするところも出始めている。
企業淘汰推進の姿勢
「物価見通しがオントラック(想定通り)で進んでいけば、更なる追加利上げもあるとのことだが、中小企業の中には(新型コロナウイルス禍で借り入れた)融資の返済に追われたり、(人材をつなぎ止めるための)防衛的な賃上げを強いられたりしているところも多い。これらの企業への影響をどう考えているのか」。7月末の金融政策決定会合後の総裁記者会見では記者からこんな質問も出た。
これに植田は、「利上げ、あるいは賃金上昇についていけない企業はデフレ圧力を発生させる。ついて行けない企業の労働者たちが、より生産性の高い他の企業にうまく移れるような仕組みや努力が続いていくか、モニターしたい」とクールな答弁に終始した。
......続きはZAITEN10月号で。