ZAITEN2024年10月号
【著者インタビュー】日本はどこで道を誤ったのか
カテゴリ:インタビュー
『日本はどこで道を誤ったのか』
発行:集英社インターナショナル
発売:集英社/¥920+税
やまぐち・じろう―法政大学法学部教授。1958年、岡山県生まれ。東京大学法学部卒業。著書に『政権交代とは何だったのか』『民主主義は終わるのか』(共に岩波新書)、『資本主義と民主主義の終焉』(水野和夫との共著/祥伝社新書)など。
―本書執筆の動機を教えてください。
「かねてから高度経済成長以降の政策における失敗の歴史をまとめたいと考えていました。政治改革については何度も書いていますが、政策論の歴史は初めて設けるテーマでした。別の道に進もうと議論した学者や官僚、政治家が時代にどう向き合い、どう議論したのかを発掘するとともに、小泉純一郎元首相や橋本龍太郎元首相の改革など、世論を熱狂させた政策論の中に、どのような欠落があったのかも合わせてまとめました。
90年代、00年代は、現状を良くしていくためのオルタナティブを探す議論が保守側にもリベラル側にもありましたが、第二次安倍晋三政権以降の自民党政権のもとではすっかりなくなった。理由はいくつかありますが、民主党政権の失敗や経済的な没落、人口の減少など憂鬱な話題で満ちていて議論をすることに人々が耐えられなくなっている印象があります。社会の仕組みを改めようとする機運が低下し、衰弱のトレンドを受け入れているように思います。
40代以下の人は衰弱していく時代しか知らない。衰弱の延長にしか未来がない時代に、「もう一度、政策の可能性を考えよう」と呼びかけるのは、私たち世代の学者の最後の仕事だと思っています。これまでもオイルショックや円高不況などさまざまな試練がありましたが、道筋を描く学者や官僚はいましたし、その頃の議論は今読んでも面白い。本書で敗北主義に陥ってはいけないと伝えたいです。
......続きはZAITEN10月号で。