ZAITEN2025年01月号
月刊ゴルフ場批評87
「千葉夷隅ゴルフクラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
「千葉夷隅ゴルフクラブ」といえば、かつて『週刊パーゴルフ』のベストコースランキング接客部門で、何年にもわたって「日本一」を獲得するなど、接客やサービスに定評があると言われていた。
場所は養老渓谷に近い、大多喜町の山間部。正直、交通の便は悪い。都内からはアクアライン経由で圏央道を利用するが、最寄りインターから20㌔近く山道を走らされる。
しかも、今年6月の豪雨による土砂災害の影響で、インターからの最短ルートが2カ所も長期通行止めになっている。そのため迂回ルートを行かねばならず、インターからはプラス20分はかかってしまうのだ。これはキツイ。
訪れた日はゴルフシーズン真っただ中。平日とはいえコンペが多く、そんな交通事情のためか遅刻者続出。いやぁ、スタッフは大変そうだったな。このアクセス難をカバーするため、接客やサービスに並々ならぬエネルギーを注いでいるというわけかもな。
朝の玄関では女性キャディ2名がお出迎え。ボストンバッグなどの手荷物を運んでくれる。
玄関を入り正面には売店。フロントはどこ? 右に曲がった奥にあったが、変な造りだな。チェックインしてから真っすぐロッカーに向かいたいのに、玄関脇の手荷物置き場に戻らなければならない。導線に問題ありだ。
さらに驚いたのは、マスター室前のキャディバッグ置き場。五十音順にバッグを置くラックがあるが、〈は~わ〉だけが鍵のついたボックス式。玄関前なら分かるよ、鍵つきは。ラウンド前なのに自分のバッグを探しにくいし、いちいちラックから出すのはどうかと思うんだ、オジサンは......。
ハウスの造りに戸惑いながらも、気を取り直してスタート。フェアウエー幅は40㍎近くあり、ティショットは伸び伸び打てる。
コースレート75・7(南西)という、千葉県一の難易度を誇るチャンピオンティが設けられているが、それほど苛烈なレイアウトではないから、使用ティを選べば安心だ。ブラインドホールは少なく、初めてでもプレーしやすい。
要注意なのはグリーン周り。バンカーがしっかり効いているうえ、10㌳以上というスピードはトーナメントレベルだ。コンペのせいかグリーン面の傷が目立っていたが、このスピードは素人には手に負えない。前の組もグリーンで苦戦していたぞ。
この日はキャディなしのセルフプレー。カートナビが頼りだったが、ふと気がつくと距離表示が「メートル」になっていた。さっきまでは「ヤード」じゃなかった?
画面を触ってみてもヤード表示に変わらない。いちいちヤードに換算かよ、トホホ。後からスタッフに聞くと、ヤード表記との切り替えはできるが、経営母体が韓国系企業で、韓国のコースはメートル表記のため、両方用意しているとのこと。そう言えば日韓共催の男子ツアー「ハナ銀行インビテーショナル」も開催されていたな。
コースも接客も素晴らしいが、韓国の文化に合わせるって大変。不思議な感覚が残って疲れたぞ、オジサンは。
●所在地 千葉県夷隅郡大多喜町板谷588 ●TEL. 0470-83-0211 ●開場 1979(昭和54)年8月1日(東・南コース) ●設計者 安田幸吉、川村四郎 ●ヤーデージ 27ホール、1万1008ヤード、パー108