ZAITEN2025年01月号
大阪市有地に再び病院誘致の「維新利権」
みずほ「開業ゴリ押し病院」大赤字の無責任
カテゴリ:事件・社会
ヒューリックとみずほ銀行が大阪市の医療法人医誠会と組んで医療ツーリズム施設と560床の大病院を新築する計画をぶち上げ、市有地を落札したのは2018年のこと。23年10月に開業した新病院は来院患者数が想定を下回ったことから、医誠会は大幅な赤字に転落した。
そうした中、近くの別の市有地を別の医療法人に病院用地として賃貸する計画が水面下で進んでいるという。日本維新の会が牛耳る大阪で一体、何が起きているのか。
ずさんな計画、審査素通り
医誠会の病院計画は、本誌19年6月号や21年9月号で取り上げてきた通り、非常に問題の大きいものだった。ヒューリックと医誠会などでつくる共同事業体は18年、プロポーザル方式の入札で大阪市北区の市有地を落札。劇場やカフェ、医療ツーリズム関連施設に加え560床の病院を整備するという内容だった。
病院は、医誠会が市内の別の区で運営する2病院を統合して新築移転することとされた。しかし、北区には中規模以上の総合病院が既に7カ所もあり、病床は既に過剰だった。このため地元医師会は計画に猛反発し、大阪府医療審議会(病院開設の許認可権限をもつ知事の諮問機関)の病院部会が「反対」を決議する事態に。それでも大阪府は認可したのだった。
出だしから波乱含みだった新病院「医誠会国際総合病院」は果たせるかな、早々に躓いた。医誠会が公開した24年3月期の決算報告書によると、本業の儲けを示す本来業務事業損益は65億円の赤字となった。売上高に相当する事業収益が363億円だったことに鑑みると、この赤字額は深刻だ。新病院建設に伴い借入金は388億円に増加し、事業収益を上回る。
この大赤字の背景には資材高や人件費の高騰などさまざまな要因があるが、来院患者数が想定を下回っているのが根本原因だ。前述のとおり、北区は病床が飽和状態であり、高度急性期・急性期病床の増床は特に過剰だった。
そこに560床(全て高度急性期・急性期)を純増させるわけで、医誠会もみずほも患者の〈取り合い〉が起きることは18年の時点で十分に予期できたはずだ。にもかかわらず、何故みずほは融資してしまったのか。
「医誠会は新病院ありきで、返済計画を作るために診療報酬が高い『高度急性期・急性期560床』という絵を描いた。だから赤字になることは最初から決まり切っていたこと」と地元医療関係者は指摘する。
......続きはZAITEN1月号で。