ZAITEN2025年01月号

ZAITEN SIGHT

商工中金「自作自演」の大量自社株買い

カテゴリ:企業・経済

 政府が今年度末までに保有株式(約46%)を全て売却し、完全民営化される予定の商工組合中央金庫。だが、ビジネスモデルも不明確なまま「脱・政府系」を急いだ弊害が早くも噴出している。  

 財務省が7月に実施した政府保有株の入札は、落札が目標の約1割にとどまった。「完全民営化」をうたうが、上場するわけでもなく、引き受け手が経営体力の弱い中小企業や関連団体に限られたためだ。  

 一方で、昨夏に成立した改正商工中金法は、政府保有株を2025年6月まで全株売却することを義務付けている。「このままでは法令違反になりかねない」と危惧した財務省は、窮余の策として商工中金自身が売れ残り分を自己株取得できるスキームを編み出した。取得費用は最大で1580億円に上る。

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