ZAITEN2025年01月号
「関西スーパー」買収断念というトラウマ
オーケー「関西進出」に滲む焦り
カテゴリ:企業・経済
ディスカウントスーパー・オーケーが2024年度JCSI顧客満足度調査で総合1位を獲得した。実はオーケー、同調査で14年連続1位という記録を達成している。「高品質・エブリデイ・ロー・プライス」を掲げる同社は、競合店の売価を調査し、より安い価格で販売する「競合店対抗値下げ」などを行い、安さへのこだわりを見せる。
また、販売商品の質を正直に書いた「オーネストカード」や、200円で入会できて、酒類を除く食料品が3%ほど値引きされる「オーケークラブ」などの意欲的な戦略も顧客の支持を拡大している要因だろう。
さて、そんなオーケーだが、つい先日、悲願ともいえる関西初出店を果たした。出店地は東大阪市の高井田。周りにはライフや万代をはじめとするスーパーがひしめく激戦区で、厳しい戦いが予想される。オーケーの出店戦略は首都圏の国道16号線の内側がメインで、現状での店舗数は150店舗を超える。首都圏ではほぼ飽和状態に達していて、新しい出店舞台として関西に手を広げたわけだ。
結論からいうと、かなり厳しい戦いを迫られることになるのではないか、と推測する。その理由は、ここ最近のオーケーの出店戦略にある。 昨年、オーケーは銀座へ出店。大きな話題を呼んだ。「激流ONLINE」の調査によれば、同店開店以後、入居する施設の人流は増加。弁当などは売り切れも続出していて、売り上げ自体は好調だ(「データで深掘りオーケー銀座店/1年経過で見えてきた顧客構造一変の数値」)。
流通アナリストの中井彰人氏の試算によれば、銀座店の営業利益率は8・7%ほど。十分利益が見込めることを予想している。中井氏は、オーケーが銀座出店を皮切りに、都心という新しいフィールドでの勝負を模索している、と指摘する(「ディスカウント王者・オーケーの銀座進出が「勝ち確」と言える3つの理由」)。
実際、銀座店開業以後、都心や山手線沿いでの出店も相次ぐ。
今回の関西出店も、オーケーの新しいフィールド開拓の1つだ。気になるのは、高井田店出店後の動向。2カ月後の25年1月には兵庫県の西宮に2号店を、春には尼崎店に3号店を出店し、4・5号店の出店もすでに決まっている。高井田店オープンのプレスリリースには「関西出店用地募集」とあり、今後も積極的な関西出店への意欲が窺える。
しかし、この出店スピードは早すぎるのではないか?
......続きはZAITEN1月号で。