ZAITEN2025年02月号
【新春対談】佐高信の賛否両論
佐高信 vs. 吉田はるみ「〝永田町の常識〟に逆らい自民政治に挑む」
カテゴリ:インタビュー
よしだ・はるみ―1972年、山形県生まれ。立教大学文学部卒業。英国立バーミンガム大学大学院にて経営学修士号取得。投資・証券会社の会社員として、東京・シンガポール・ロンドンで働き、中小企業の発展に注力。12年、小川敏夫法務大臣の大臣秘書官を務める。2021年、第49回衆議院議員選挙で初当選。現在2期目。24年、立憲民主党代表選挙に立候補。
米国債を売りたい誘惑
佐高:ヨーロッパでは、食料自給率の低い国は戦争をしたがる国だと言われています。今のままだとヨーロッパから見ると、日本は戦争をしたがっている国です。また、防衛論が自民党との勝負の大きなポイントになりますよね。
吉田:「朝まで生テレビ!」に出たのですが、共演者の方たちは日本の国力がどうしてここまで落ちたのかという本質的な議論の前に正面装備の話をしたがります。食糧自給率は38%で、エネルギーに至ってはほとんどを海外へ依存している現状を見ると、対等な外交ができないのではと思うほど事態は深刻です。また、トランプ次期大統領が一律関税をかけると言っていることに対して、右往左往しているようにも見えます。
しかし、対米追従ではいけません。実際にトランプが関税をかけたとしたら、関税をかけた分はアメリカ国内で生産を賄う必要がありますが、そのための国内投資の話をトランプがしているかなど客観的に冷静な判断をしていく必要があります。止まっている工場を再稼働させたり、再び新たに工場を立ち上げていくとなると、そこにはたくさんの資金が必要です。だから、本来であれば、国内投資の話とセットで言わないと実現可能性は見えないと思います。
とはいえ、トランプは何をするかわからないところがあるので、貿易赤字を改善するために日本に迫ってくる可能性も無視できません。また、日本に最近アメリカ産の豚肉と牛肉がじわじわ入ってきているのをご存じですか? ごちそうポークの略で「ごちポ」という豚のキャラクターがいて、電車の中吊り広告などにも掲載されています。日本の食卓の中に確実に浸透しています。このままだと農産物を大量に買わせられるようになってしまいます。
佐高:日本はアメリカ国債を大量に保有しています。だから、アメリカが脅すのであれば、開き直って売ってしまえばいい。橋本龍太郎元首相が「米国債を売りたい誘惑に駆られる」と発言して、アメリカが動揺したといいます。石破茂首相もそのぐらいのことを言うべきです。 吉田:経済と政治は一体であって、外交も安全保障もトランプにしてみれば、その国と付き合うと何が得られるかビジネスライクに捉えているところがあるので、その論理を理解すべきですし、逆に日本も何が提供できるかというところまで考えていかないといけない。
関税をかけられたら、日本の自動車が対アメリカの輸出の中で大きいため問題ですが、これからもアメリカだけに依存するような体制では行き詰まります。本来であれば、政府は優秀な営業マンとしてインドやアフリカなどとも交渉をしていかないといけないのですが、現実問題として出遅れています。そう批判すると、「そんなの分かっているが、すぐにはシフトできない」と言われます。世界へ目を向けると、自動車だけではなく、「ペロブスカイト」というシート状の太陽光のパネルや新しい再生エネルギーなどの技術開発が盛んです。もっと新産業へ目を向けるべきだと思います。
......続きはZAITEN2月号で。