ZAITEN2025年02月号

国・地方自治体・メディアも共犯者 PFAS汚染は日本全体の問題である

【著者インタビュー】終わらないPFOA汚染 公害温存システムのある国で

カテゴリ:インタビュー

『終わらないPFOA汚染
公害温存システムのある国で』
旬報社/¥1,700+税

なかがわ・ななみ―1992年、大阪生まれ。大学卒業後、米国本部の国際NGO「Ashoka」に3年間勤務。2020年から探査報道に特化した非営利独立メディア「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」に加入し、ジャーナリストに。連載「公害PFOA」で、PEPジャーナリズム大賞(2022年)とメディア・アンビシャス大賞[活字部門]優秀賞(2023年)を受賞

―PFOA汚染の取材のきっかけを教えてください。

2021年春、『永遠の化学物質 水のPFAS汚染』(岩波ブックレット)を読み、私たちの身近にあり健康を脅かす物質にもかかわらず、あまり知られていないことに驚いたのがきっかけです。  

 当時は、沖縄や大阪で高濃度のPFAS(有機フッ素化合物)が検出されていましたが、沖縄の報道はあっても大阪に関してはなかなかない。なぜなら、沖縄の汚染源は米軍基地。対行政にはメディアは取材しやすい。  

 しかし、対企業、しかもダイキンのようなグローバル企業となると、大手メディアはおよび腰になってしまうからです。ぽっかり報道の穴があいているため、報じなければと思い着手しました。本書では、PFASのなかでも毒性が強く、残留性が高いPFOAの汚染を引き起こしているエアコンメーカー大手・ダイキン工業淀川製作所がある大阪府摂津市を中心に描いています。  

 摂津市へ行く前は「住民はみんな怒っているだろう」と思っていましたが、実際には真逆で、地元でも知らないか、知ってはいても「ダイキンさんにはお世話になってるから」「うちに取材で出入りされてるのを知られたら困る」という方が多くいました。  摂津市では、家族や知り合いの誰かしらがダイキンや関連会社に勤めていることが珍しくありません。市内でも、淀川製作所がある地域では特に、「ダイキンに楯突く=この町にいられない」という意識をもつ方が多くいることを知りました。この3年間で声を上げる人は増えてきましたが、それでも他の町よりも取材はしにくいと感じています。


......続きはZAITEN2月号で。

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