ZAITEN2025年02月号
自民原発族議員が死屍累々の中―
【特集】「ゾンビ石破政権」を弄ぶ経産省
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政府は国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画(エネ基)」の改定案で、2011年の東日本大震災・東京電力福島第1原発事故以降掲げてきた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を削る一方、原子炉の建て替え推進を明記する方針だ。先の衆院選で元経済産業相・元自民党幹事長の甘利明をはじめ原発族議員が相次いで討ち死にした上、少数与党となった石破茂内閣の政権運営も不安定な中、これほど「原子力回帰」を鮮明に打ち出せた背景には、「あの男」の暗躍があった。岸田文雄前政権で首席首相秘書官を務め、原子力産業と親密ぶりから「霞が関の原発マフィア」と称される嶋田隆(1982年旧通商産業省、元経産事務次官)のことである。
嶋田の政界工作
21年に発足した岸田政権で首相と同じ開成高校卒の縁から首席秘書官に起用されると、エネルギー政策に何の定見も持っていなかった岸田に、「気候変動対策とエネルギー安全保障を両立させるには原子力の復権が不可欠です」としきりに吹き込み、まんまと「原発推進宰相」に染め上げた。福島事故以降、政界で長らく「タブー視」されてきた原発を、太陽光など再生可能エネルギーと同格の脱炭素電源と位置付け、温室効果ガス排出削減を図る「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」推進の文脈でアピールすることで国民の目をくらました。その手腕は巧妙で、既存原発の再稼働推進にとどまらず、老朽原発の建て替えにも道を拓いたことは、経産省内で「嶋田レガシー」と賞賛されている。ただし、「国のエネルギー戦略を規定する憲法」(資源エネルギー庁幹部)とも言える「エネ基」に反映させられなければ、経産省が長年、画策してきた「原子力復権劇」は完結しない。嶋田はこのエネ基への刻印も、自らが仕切る岸田政権にやらせる腹積もりだったが、旧安倍派の裏金問題が噴出し、内閣支持率が急落したことで政治的命運が尽き、実現できなかった。
......続きはZAITEN2月号で。