ZAITEN2025年03月号
不祥事では会見せず、都合のいいことばかり発信
KADOKAWA夏野の「口八丁」に社内〝総スカン〟
カテゴリ:企業・経済
ソニーグループがKADOKAWAの買収に向けて協議をしていると報じられたのは昨年11月19日。報道直前には3000円前後だったKADOKAWAの株価は、一時4500円台まで急騰した。ところが、1カ月後の12月19日に発表されたのは両社の資本業務提携だった。KADOKAWAが1月7日に実施する第三者割当増資をソニーグループが引き受け、約500億円で株式を追加取得する内容で、ソニーグループは発行済み株式数の約10%を保有する筆頭株主となった。 さらなる追加取得の予定は現時点でないという。KADOKAWA社長の夏野剛はメディアの個別インタビューで、調達する500億円のうち、200億円を新規のコンテンツIPの創出や取得に使い、300億円を海外展開に当てる方針を明かした。
しかし、「買収協議」から「追加出資」にとどまった肩透かしのような結論に、買収への期待感から上昇していたKADOKAWAの株価はたちまち急落した。発表翌日にはストップ安水準となる前日比700円安の3689円まで下落。その後も失望売りが続き、1月も20日まで3100円台を中心に推移。買収後の上昇分を全て吐き出す形となった。
本誌2025年2月号では、買収報道が出たにもかかわらず、KADOKAWAの社員に対して夏野から説明があったのは報道の3日後だったことを伝えた。報道翌日に出した「現時点で決定した事項はありません」とのコメントをなぞった上で、〈今後、従業員の皆さんにお知らせすべき事実が発生した場合には、改めてお伝えさせていただきます〉と記載した文章が送られただけだった。不祥事が起きても会見を開かず、社内にも説明していない夏野だけに、買収報道への対応にも社員の不信感が高まった。
......続きはZAITEN3月号で。