ZAITEN2025年03月号
社会正義の欠如
【特集】日本公認会計士協会という「虚妄組織」
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2024年の政界を揺るがし、10月の衆議院議員選挙で与党を過半数割れに追い込んだ自民党の「裏金問題」をめぐっては、外部監査制度が全く機能していなかったことも論議を呼んだ。
政党や政治家が代表を務める政治資金団体が政治資金収支報告書を提出する際には、登録政治資金監査人、つまり政治資金適正化委員会の登録を受けた弁護士、公認会計士、税理士のうち、いずれかによる監査をあらかじめ受けることが政治資金規正法により義務付けられている。だが、登録政治資金監査人は、報告書に上がっている収入についてはそれが裏金であっても精査できず、支出についても領収書と照らし合わせて数字が合っているかをチェックするだけで、怪しい支出があっても調べようがない。民間企業の監査では必ず行われる銀行預金の残高調査もほとんど行われず、会社で言えば子会社にあたる政党支部と、親会社にあたる本部の決算を連結で監査し、資金の流れを追う仕組みもないなど、国際監査基準(ISA)が適用される上場企業の監査とはまったく異なる、名ばかりの「監査」なのだ。
そもそも、政治資金の監査に上場企業監査並みの厳格さが求められれば、この業務は公認会計士の独壇場となるはずだが、領収書と帳簿上の支出額を突き合わせるだけの現制度では、むしろ地場に根を張り、議員たちにとっては地元の支援者でもある税理士たちの利権になっている側面もある。
総務省公表資料によると、日本全国で登録政治資金監査人に登録している5142人(2024年4月末時点)のうち、公認会計士はわずか19・1%(983人)で、弁護士は6・5%(335人)。それに対して税理士は74・4%(3824人)と圧倒的多数を占めているのだ。
裏金批判が巻き起こっていた23年末から24年を通しては、本来であれば、公認会計士が「政治腐敗の一掃」という大義を堂々と掲げ、政治資金監査の対象拡大と厳格化を国に要求し得る千載一遇の好機だった。ところが国会で特別委員会が設置され、政治資金規正法の強化が議論されていた24年4月12日のタイミングで、公認会計士の自主規制機関である「日本公認会計士協会」が茂木哲也会長の名で出した声明は、あらゆる意味で腰の引けたものだった。
......続きはZAITEN3月号で。