ZAITEN2025年03月号
依然としてトップに居座る奥和登理事長
農林中金「1兆7000億円損失」現場では〝壮絶リストラ〟の予兆
カテゴリ:企業・経済
50兆円もの農協マネーを運用し「和製ヘッジファンド」と自画自賛していた農林中央金庫が金利の先行きを見誤り、2025年3月期に最大1兆7000億円の最終赤字を計上する見通しとなった。目を剥くような巨額損失である。通常の民間金融機関なら、トップのクビが即刻飛び、社内では店舗・人員削減の嵐が吹き荒れることだろう。
だが、農林水産省の庇護の下、自民党農林族議員をバックにしたJAグループともたれ合う「ぬるま湯体質」のお陰か、理事長の奥和登(1983年入庫)は厚顔無恥にもトップに居座ったまま。現段階では職員への希望退職の募集なども公表されていない。
ただ、奥は今後も自らの首をつなげるために、26年3月期に確実に最終黒字転換を果たした上、運用資金を委託するJAグループが満足するような利益還元を行うことを迫られている。JAへの還元原資の上積みに血眼になっている奥が人員削減に手を付けるのも、「時間の問題」(元理事)と見られており、社内ではそんな意向を忖度した中間管理職による「リストラの先駆け」とも言える動きも顕在化している。
自らの経営失策のツケをもっぱら現場に押し付けようとする姿は、古代ギリシア時代から言い伝えられてきた「魚は頭から腐る」との格言を地で行くような醜悪さを醸し出している。
「異次元の赤字決算」
「運用資産の評価損を全て解消すると(25年3月期の最終)赤字額は1兆7000億円規模になる」。農林中金が昨年11月下旬に開いた同4~9月期連結決算発表の記者会見。奥は赤字額が従来予想の1兆5000億円からさらに膨らむとの見通しを示した。
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