ZAITEN2025年03月号
不祥事のオンパレード
【特集】三菱UFJ「泥棒銀行」に金融機関の資格なし
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「メガバンクトップが聞いて呆れる。前代未聞の事件を引き起こしながら、経営トップに危機感がなさ過ぎる。(大規模システム障害や反社会勢力向け融資など不祥事を繰り返してきた)みずほフィナンシャルグループ(FG)と比べてもガバナンス(企業統治)の欠如が甚だしい」
金融庁内では、貸金庫を巡る巨額窃盗事件を起こした三菱UFJ銀行(MUBK)に対し、こんな憤りが渦巻いている。「最も安全な資産の保管場所」であるはずの銀行の貸金庫から2020年4月以降4年半にもわたり、元女性行員(46歳、懲戒解雇)が顧客約70人分、総額17億円にも上る金品を窃取していた事実を重大視しているためだ。実際、「巨大銀行が泥棒とは......。もう何も信用できない」(SNS上の投稿)などと国民に大きな衝撃を与え、金融界全体の信用を貶めた
にもかかわらず、MUBKや親会社の三菱UFJFG(MUFG)は「一部の不届き者の不始末」として問題を矮小化。お手盛りの社内処分や泥縄式の再発防止策を出しただけで、やり過ごそうとしている。MUFG社長の亀沢宏規(1986年旧三菱銀行)は足元の業績が好調なことを自画自賛し「投資家には弊社を成長銘柄だと思っていただきたい」などと吹聴しているが、〝上滑り〟な収益至上主義路線は貸金庫事件以外にも不祥事を続発させる組織の腐食を生んでいる。
会見が遅れた理由
「信頼、信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがす事案と厳粛に受け止めている」
MUBKが昨年12月16日に開いた貸金庫窃盗事件を巡る記者会見。頭取の半沢淳一(88年同)は冒頭、硬い表情でこう切り出し、10秒間、深々と頭を下げた。だが、同11月下旬に一連の問題を公表してから記者会見を開くまで1カ月近くかかったことは、トップの危機意識の希薄さをかえって浮き彫りにした。後手の対応を批判された半沢は「(被害にあった)顧客への対応を最優先に、メドがついた時期に説明するのが不安の払拭にもつながると判断した」などと強弁したが、会見が遅れた理由は別にあったようだ。
......続きはZAITEN3月号で。