ZAITEN2025年04月号

【対談】佐高信の賛否両論

佐高 信 vs. 角川春樹「出版界の革命家が語る永田町の〝未来予想図〟」

カテゴリ:インタビュー

かどかわ・はるき―1942年、富山県生まれ。株式会社角川春樹事務所代表取締役社長。出版業のかたわら、1976年に『犬神家の一族』で映画界に進出。『人間の証明』など、70作を超える映画を製作。82年、『汚れた英雄』で監督デビュー。

佐高:まず、お聞きしたいのは、角川さんは石破茂首相のどのようなところに着目したのかということです。

角川:これは毎年のことなのですが、息子は私の誕生日1月8日にメッセージを書初めにして渡してくれます。2年前だと、私が感染性動脈瘤だったということで、「生きる力」、去年は、「平和の光」でした。そして、今年は「夢の実現」と書いてきました。  

 3年かけて取り組んできた「書店振興プロジェクト」という私の夢が実現するという意味で書いてくれました。書店振興プロジェクトは、前経済産業大臣の齋藤健さんが経産省内に「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げて、街の書店支援を打ち出しています。  

 昨年の元旦に、能登半島地震が起こりました。これはあくまで科学者ではない、神道家の言葉として聞いていただきたいのですが、地震というのは国の因縁とされています。2024年の能登半島地震は、森喜朗元首相に対する「ノー」という意味で私は受け取りました。  

 そんな時に閃いたのは石破さんです。私の中で、平和の光と石破さんは結びついています。昨年の5月23日、石破さんと45分話した時、私は石破さんには2つの問いかけをしました。1つは「目に見えない力を信じるか」ということ。これに対して石破さんは「信じます」という答えでした。それを聞いて、「9月の自民党総裁選に出てください。そして、総理大臣になった暁には書店振興プロジェクトを国家レベルでやってほしい。約束できますか?」と言った。すると、「約束できます」と答えました。そこから石破さんとの付き合いが始まりました。  書店振興プロジェクトを国家レベルでやっていくこと、地震という国の因縁の2つの意味で、私は石破さんが日本に平和の光をもたらすと信じています。

佐高:私は書家の息子なのですが、息子さんの書初めはとても力強いですね。

角川:私もそう思います。しかし、学校では自分勝手に書くようなものは教本通りではないという理由で否定されるそうです。息子は「書は自分の気持ちで書くもので、父さんに元気になってもらいたいから、教本通りではないとしても力強さを重視した」と言ってプレゼントしてくれました。

佐高:私も小さい頃に父から手ほどきを受けましたが、「格好だけをつけるな。勢いが大事だ」と言われました。

角川:それは素晴らしいことですね。今の子どもを見ていると、学校でも家庭でも言いなりになる従順な子を求めているように見えます。その結果、主体性のない国民性として世界1位になるのです。  

 私は戦後の教育でした。表紙に墨の入った教科書から始まるのですが、学校教育は当時から根本的な部分は変わっていません。戦後80年になるというのに、学校教育のシステムは少しも変化していないのは問題で、そのことに対して怒りを持っています。  

 佐高さんがお書きになった昭和史の本に出てくる田中角栄元首相や笹川良一さん、瀬島龍三さんは私と親しかった人たちでした。かつては、フィクサーと呼ばれた人は力もあり、人物としても魅力的でした。しかし、今の日本にフィクサーと呼べるような人はいないですよね。

......続きはZAITEN4月号で。

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