ZAITEN2025年04月号
有力政治家、巨大宗教団体……
金融庁「三菱UFJ・みずほ〝泥棒銀行〟」に弱腰のワケ
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三菱UFJ銀行の元行員が顧客の貸金庫から多額の金品を窃取していた事件を巡り、監督官庁である金融庁の不作為を批判する声が高まっている。さらに2月18日には、みずほ銀行が支店の行員が貸金庫から顧客2人の現金数千万円を盗んだとし、2019年に懲戒解雇の処分にしていたと公表。金融庁にその事実を報告していたという。しかし金融庁は、これまでそうした事実を把握しながら、「些細な問題」として取り合わず、貸金庫のリスク管理を金融機関側に丸投げしてきた。結果、業界トップバンクでも前代未聞の事件が引き起こされた。
貸金庫の杜撰なリスク管理の実態については、警察や法曹関係者もかねて「資産家の相続税逃れや犯罪資金の隠匿などマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になっている」などと警鐘を鳴らしてきた。にもかかわらず、金融庁は聞く耳を持たず、何ら手を打ってこなかったわけだ。業界が不祥事を起こすたびに規制強化を進めてきた「強面」の金融庁がどうして貸金庫問題だけは音なしの構えを続けてきたのか。背景を探ると、政治的リスクが大きい問題には極端に臆病となる弱小官庁特有の「事なかれ主義」も透けて見える。
現金は保管対象外
三菱UFJ銀行の事件では、現時点で顧客70人分、約17億円規模になるという被害が確認されている。「銀行の信頼を根底から揺るがす事件」(三菱UFJ銀行幹部)で、国会でも重大問題として取り上げられている。金融庁は「メガバンクトップがこんな杜撰な業務管理体制だったとは想像もしなかった。呆れるばかりだ」(監督局幹部)と、銀行に責任をもっぱら押し付けようとしているが、果たしてそれで済むのか。
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