ZAITEN2025年04月号
ジュリー・キム米国ビジネスユニット(USBU)プレジデントにトップを交代
武田薬品「ポスト・ウェバー」移行期間1年半の〝謎〟
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国内製薬業界関係者の2025年最初のサプライズはこれだったことに間違いないだろう。
1月30日、武田薬品工業はクリストフ・ウェバー社長が退任し、ジュリー・キム米国ビジネスユニット(USBU)プレジデントにトップを交代する人事を発表した。一報に接した製薬業界関係者に衝撃が走るなか、目を疑った人も少なくなかった。何故ならば、「社長交代の時期が26年6月とプレスリリースに書かれていたからです」(経済誌記者)。実際、ある国内製薬企業首脳も「1年半も社長交代に時間をかけるなんて聞いたこともない。そんなことをしたらウェバー社長の求心力も落ち、経営に支障を来すのではないか」と首をかしげる。
「10年はやる」―かつてウェバー社長がこう口にしていたことから、25年の退任と見られていた。だが、昨年6月の『ブルームバーグ』のインタビューで、25年頃の退任の意向は「もう念頭にない」と発言したことから、その見通しは白紙に戻った。「さらに長期政権を敷くのか」との観測が飛び交うなかでの発表となった。 「そもそもキム氏はまったくの〝伏兵〟でした」と前出の経済誌記者。「古田未来乃最高財務責任者(CFO)と欧州などの地域やワクチン事業などを統括するグローバルポートフォリオディビジョンのラモナ・セケイラプレジデントの一騎打ちだと見られていたからです」と説明する。
後継指名されたキムプレジデントは米国生まれで年齢は50代半ば。19年に武田が買収したアイルランド製薬大手シャイアーの出身だ。買収に伴い武田に移り、22年から現職を務めている。意外性のある人事だが、武田の一大収益源である米国事業責任者を務めていることから、「キム氏の昇格は妥当」と見る同社関係者もいる。
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