ZAITEN2025年04月号
五輪を喰った兄・高橋治之と長銀を潰した男と呼ばれた弟・高橋治則
昭和という狂乱の時代が生んだ「バブル兄弟」と「相場の怪物」西﨑伸彦
カテゴリ:インタビュー
『バブル兄弟
〝五輪を喰った兄〟高橋治之と
〝長銀を潰した弟〟高橋治則』
文芸春秋/2,100円+税
『株の怪物
仕手の本尊と呼ばれた男
・加藤暠の生涯』
宝島社/1,618円+税
にしざき・のぶひこ―ノンフィクション作家。岡山県出身。立命館大学卒業後、『週刊ポスト』(小学館)記者、『週刊文春』(文芸春秋)記者を経て、2020年からフリー。主な著書に『中森明菜 消えた歌姫』(文芸春秋)、『海峡を越えた怪物 ロッテ創業者・重光武雄の日韓戦後秘史』(小学館)など。
東京五輪をめぐる汚職事件で、いまなお係争中の元電通専務の兄・高橋治之。二信組事件、大蔵省接待事件をめぐって逮捕され〝長銀を潰した男〞と呼ばれた弟・高橋治則。2人の半生を克明に描いた『バブル兄弟 〝五輪を喰った兄〞高橋治之と〝長銀を潰した弟〞高橋治則』(文芸春秋)を2025年1月に上梓し、さらにバブル兄弟の人生と数奇に交錯する伝説の相場師の軌跡を追った『株の怪物 仕手の本尊と呼ばれた男・加藤暠の生涯』(宝島社)を2月に上梓したノンフィクション作家の西﨑伸彦氏が〝昭和が生んだアンチヒーロー〞の実像を語る。
高橋兄弟は兄・治之が戦時中の東京で、弟・治則が戦後すぐの長崎で生まれます。戦後の復興から高度経済成長期、そしてバブル経済の狂乱と崩壊という、日本が右肩上がりの昭和という時代を体現する世代であり、パワフルで活気がある一方で、昭和という時代性の光と闇を背負わされた存在とも言えます。
『株の怪物』の主人公・加藤もまた3歳の時に広島の原爆投下で被爆体験をしており、高橋兄弟とまさに同時代を生きてきました。加藤は昭和の株式相場という鉄火場で辣腕を振るい、〝兜町の風雲児〞の異名を取りました。
......続きはZAITEN4月号で。