ZAITEN2025年05月号
他派閥パージを〝教祖佐藤〟の顰に倣う
【特集】みずほ「泥棒銀行」を追い詰めろ!!
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木原正裕「傲岸不遜トップ」を生んだ旧興銀支配
「PBR(株価純資産倍率)で三井住友フィナンシャルグループ(FG)を遂に上回った。メガバンク落第なんてもう言わせない」
みずほFG社長の木原正裕(1989年旧日本興業銀行)は最近、周辺筋にこんな怪気炎を上げているという。昨年11月に発表した16年ぶりの自社株買いが奏功したのか、みずほFGの株価は今年1月には4000円台前半まで上昇。解散価値を下回るPBR1倍割れをほぼ12年ぶりに解消し、瞬間風速とはいえメガバンク2位の三井住友FGを追い抜いたから笑いが止まらないのだろう。日銀の利上げという追い風参考記録ながら、2025年3月期の連結純利益が過去最高の8200億円になる見通しであることも気を大きくさせているようだ。
「根拠なき高揚感」(FG幹部)に包まれた木原は今年5月に経団連副会長になるのを契機に来春にはFG会長に就任。後継に子飼いFG役員を充て、グループトップの座を4代続けて旧興銀勢が独占するシナリオを描いているという。もちろん財界活動に軸足を移すと言っても、FG会長としてグループ経営に隠然たる影響力を振るい続ける腹積もりで、社内でも権力を手放す気配はない。当局やマスコミも巻き込んで旧富士銀行勢や旧第一勧業銀行勢との熾烈なつぶし合いを制して、みずほの「旧興銀支配」路線を敷いた前FG会長の佐藤康博(76年旧興銀)の顰に倣うような木原の権力欲の強さには恐れ入るばかりだが、経営統合から四半世紀が過ぎても組織融和が進まない歪んだ経営のひずみはあちこちで噴出し始めている。
健在する悪しきカルチャー
「貸金庫からの金品の窃盗など銀行員による不祥事があった際には、原則公表することを監督指針で促すよう金融庁に求める」
2月末に開かれた自民党の金融調査会の会合。会長の片山さつき(参院議員、元内閣府特命担当相)はこう議論を締めくくった。念頭にあったのは、みずほ銀行(BK)広尾支店(東京・港区)で16年から19年にかけて起きた当時30代の元女性行員が顧客2人の貸金庫から計6600万円を盗んだ事件だ。FGやBKのトップや役員が19年時点で事態を把握していながら、今年2月中旬に公表するまで約5年間も〝隠蔽〟していた。
BK頭取の加藤勝彦(88年旧富士銀)は「顧客の意向を踏まえた」などと釈明したが、金融界やマスコミでは不祥事情報の開示に消極的な姿勢への批判が広がる。24年11月には三菱UFJ銀行で元女性行員が顧客の貸金庫から窃盗を繰り返し、十数億円もの被害が出ていたことが発覚したが、「みずほが即座に公表し、貸金庫の取り扱いに関する注意を発信していれば、三菱UFJ銀行での被害を未然に食い止められた可能性がある」(日銀幹部)からだ。
......続きはZAITEN5月号で。