ZAITEN2025年05月号
内部事情に詳しい関係者が解き明かす
【特集】考察!「みずほ銀行金庫泥棒事件」はなぜ起こったか
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センセーショナルに報じられた三菱UFJ銀行の事件に比べ、その報道が一段落した頃に公表されたみずほ銀の事件は、あまり深く報じられていない印象だ。みずほの場合、元行員が融資代わり金を盗んで逮捕された事件も、今回発覚した貸金庫窃盗事件も、現金が盗まれたのは同じ顧客2人の金庫からだ。にもかかわらず、貸金庫事件が隠蔽されていたことには、深い闇があると考えるのが自然だろう。
この疑問に答えてくれたのが、みずほの内部事情に詳しい関係者だ。関係者は、「あくまで推測」だと前置きしながら、みずほの貸金庫事件の真相を解説してくれた。関係者による考察を、以下に掲載する。
関係者が考察する
貸金庫事件の「真相」
みずほ銀の貸金庫事件については、三菱UFJ銀の事件に比べると「不可解な点が多々あるな」と感じた人も少なくないでしょう。私なりに不可解な点を3つに整理してみました。
1点目は、貸金庫から現金を盗まれた被害者が2人に限定されていることです。普通に考えれば、各支店に100以上ある貸金庫から、札束が入っている貸金庫を2個だけ特定するのは不可能でしょう。元行員A(A)はなぜその貸金庫に札束が入っていたことを知っていたのでしょうか。
2点目は、みずほはなぜ事件を警察に通報せず金融庁報告だけで済ませたのでしょうか。ZAITENの取材に対し、「警察にご相談のうえ、警察に全面的に協力させていただいており、かかる最中での公表は行わなかった」と回答していますが、立件されたのが融資代わり金の窃盗だけというのは、どう考えてもおかしい。
3点目は、三菱UFJの元行員による貸金庫窃盗事件が明らかになったときにも隠していながら、なぜこの貸金庫事件を今さら公表したのでしょうか。 この事件に関しては、みずほが発表している内容以上の証拠があるわけではありません。けれども、当時の状況も踏まえながら、私が推測した事件の「真相」をお話ししたいと思います。
Aが勤務していた当時、みずほでは貸金庫の契約について厳しいノルマを行員に課していて、実績を求めていました。なぜなら、低金利政策が続く中、手数料収入を増やしたい銀行にとって、貸金庫ビジネスは手数料の有力な収益源だったからです。ただ、証券保管振替機構によって株券と債券はすでに電子化され、不動産権利証も電子化されるなど、有価証券の減少によって貸金庫に入れるものは無くなっていました。
にもかかわらず、ノルマを求められることから、Aはある方法を思いつきました。それはマネーロンダリングへの加担です。
......続きはZAITEN5月号で。