ZAITEN2025年05月号
「90歳目前のCEO」御手洗冨士夫会長兼社長率いる
キヤノン「1651億円減損」の悲鳴
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89歳6カ月のワンマン経営者が君臨するキヤノン。かねて会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)と首脳ポストを独占する御手洗冨士夫の老害ぶりが問題視されてきたが、ついに馬脚を現した。2024年12月期の業績が急失速。最大の要因は9年前に巨額を投じ、買収した医療機器子会社を中心にした1651億円の減損損失計上である。社内には「いい加減に退いてほしい」と怨嗟の声が渦巻くが、本人に辞める気はなく、このままでは9月に前代未聞の〝90歳のCEO〟が誕生する。
急落する株価に自社株買い
東証市場で「キヤノン・ショック」が起きたのは1月31日。引き金は前日30日に公表した24年12月期決算だった。 「新型コロナウイルスが一段落した23〜24年に中国の景気悪化や日本の医療機関の経営が悪くなった」。オンライン説明会で同社副社長兼最高財務責任者(CFO)の田中稔三(84)はこう語り決算の悪材料を開示した。16年に東芝から買収した子会社キヤノンメディカルシステムズ(旧東芝メディカルシステムズ、買収総額6655億円)などメディカル事業を巡る「のれん代」の減損損失1651億円の計上である。その結果、当初は前期比23%増の3250億円を見込んでいた同社全体の純損益が、一転して同40%減の1600億円へ大幅に減少した。
市場の衝撃を和らげるためか、今期(25年12月期)の純損益が3640億円(24年12月期比2・3倍)に急回復することに加え、最大1000億円の自社株買いを実施することも発表。翌31日の東証でキヤノン株(30日終値は5070円)は取引開始直後に値を上げたものの、投資家が反転増益や株主還元策など目先の弥縫策に惑わされたのはそこまでだった。
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