【記事無料公開】大幸薬品「クレベリン」 の新型コロナウイルス"便乗商法"

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連日連夜、ネットやテレビで流される新型コロナウイルス関連ニュース。ドラッグストアに行ってもマスクが1枚も買えない状態が今もなお続いています。安倍政権の唐突なコロナ対応についても一言いいたいところですが、それよりもマスクが必要な状況下で空っぽのマスク売り場を見て、不安が急に募った人も多いのではないでしょうか。

ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しており、中には"便乗商法"としか思えない内容のものもあり、商品特性をよく理解せず焦って購入してしまったという話もよく耳にするようになっていますので、みなさん注意しましょう。

そんな中、新型コロナウイルス関連商品の中で、かなりの頻度で紹介されている「クレベリン」という商品があるのですが、みなさんご存知ですか? あの「正露丸」で有名な大幸薬品の商品ですが、マスク売り場の空きスペースに陳列されているようです。しかし、「クレベリン」は医薬品ではなく、あくまでも「雑品」なのです。

ここでは、現在発売中の20204月号(32日発売)で掲載している記事《大幸薬品「クレベリン」新型コロナウイルスに便乗の"沈黙商法"》を特別に無料公開いたしますので読んでください!

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〈私は日頃から業務上、マスクは原則NGになっている接客業の職場で働いている者です。新型コロナウイルスが取り沙汰された当初、上司から予防したい人は、マスクの代わりに「クレベリン」スティックなどの除菌剤を各自で買いなさいと指導を受けたので、購入しました。ちなみに、現在はマスク着用が許されるようになりましたが......。

 私が買ったのは、ペンのような容器に入っており、首から下げる専用ケースがついているもので、1箱1000円以上しました。

 すでに数日間使用しましたが、コロナウイルス対策として効果があるのか疑問です。どのウイルスや菌を除去できるのかも、分からないし、何のために首から下げているのか、と首を傾げる日々でした〉(読者のメールより)

クレベリンは薬ではない!

 新型コロナウイルスが上陸した後、瞬く間にドラッグストアからマスクが消えた。連日連夜テレビで流されるダイヤモンド・プリンセス号での集団感染報道に煽られる中、街中では人々がマスクを手に入れることができない状態に陥っていた。

 多くのドラッグストアでは売り場に〈本日マスク入荷なし〉という内容の貼り紙がされ、マスク売り場の棚はどこも空っぽ状態。

 しかし、その空の棚に「クレベリン」を陳列している店があった。この売り場ではマスク目当てに来店した多くの消費者が「マスクの代わりになれば」とクレベリンを購入していた。

 クレベリンは、正露丸で有名な大幸薬品が出している商品だ。そのパッケージには「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」とある。スティック状のもののほか、スプレーや置き型の製品がある。

 ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しているが、クレベリンはかなりの頻度で紹介され、注目度も高い。その一方で対策グッズの商品特性をよく理解せず購入するケースも増えているようだ。

 早速、編集部では大幸薬品広報部の高梨氏に取材を申し込んだ。 

 大幸薬品では2005年から業務用クレベリンを販売、今では連結売上高の6割をクレベリン関係が占め、正露丸をも上回る。

「クレベリンは二酸化塩素の作用に着目したウイルス除去・除菌・消臭のための雑品のブランドです。主成分である二酸化塩素ガスの酸化作用により、空間に浮遊したり壁面などに付着するウイルス・細菌・カビのたんぱく質や悪臭物質を働かせなくさせます」(高梨氏)

 とはいえ、ナントこの商品は〝薬品〟ではなく〝雑品〟なのであるでは、どのようなウイルスや菌を除去するのか。

 高梨氏は「クレベリンは雑品のため、特定のウイルス・菌に対する効能・効果を謳うことは薬機法に抵触するため、一般の方々に当該情報のご提供はできません」と回答。

 つまり、消費者に何を除菌、除去しているのかも明示できないような非常に曖昧な商品なのだ。

 しかも驚くことに、これらのクレベリン製品は14年3月、消費者庁より、製品紹介ページや新聞広告の表現について、景品表示法の優良誤認に該当すると措置命令を受けた過去があるのだ。パッケージの後ろに小さく記載されている「ご利用環境により、成分の広がりは異なります」という文言は消費者庁の指導で追加されたという。

 クレベリンにエビデンスはあるのだろうか。高梨氏に確認したところ、除菌の根拠としての二酸化塩素に関する実験データや成果があるとしたが、閉鎖空間での試験結果で、もちろん新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の試験データはない。

 ネットには〝お守り代わり〟に下げるものだと書き込まれていたが、言い得て妙である。

新型コロナウイルスに便乗?

 ネットなどではクレベリンがあたかも新型コロナウイルス対策として使えるように書かれているし、店ではマスクの代用品のように陳列されているケースは今後も増えてくるだろう。

 そして、読者のように会社でコロナウイルス対策にクレベリンを使えと間違った指示を受けるケースも出始めている。

 大幸薬品はこうした状況を把握し、いち早く消費者に向け分かりやすい商品情報を発信するべきではないか。それとも〝コロナウイルス特需〟だとでも思っているのだろうか。現に、クレベリンの売り上げは大幅に増え、2月12日には株価がストップ高に。20年3月期連結純利益予想も30・3%上方修正し、過去最高を狙う。

 高梨氏は「新型コロナウイルスに関するネットを含めたメディアでの一般的な報道や政府発表の情報は適時収集し、販売従事者を対象に適時、製品に関する説明会や情報提供等を行っています」と言うが、大幸薬品の公式ホームページなどを見る限りでは、一般消費者の誤認を防ぐような努力は特に行っていない様子。

 こうした状態を放置するのは便乗商法ではないか。そうではないと言うのなら、今すぐ「クレベリンの新型コロナウイルスに対する効果は確認されていません」と広報すべきだ。

なお、本誌編集部では読者のみなさんの「これはちょっとおかしいのではないか?」「企業倫理はどうなっているの?」という素朴な声を企業へダイレクトに問いかけ、日々取材を行っています。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸いです。

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