"異形の金融人"として知られる藤澤信義氏率いるJトラスト。金融、不動産、アミューズメントと事業領域を拡大し続けてきた。とりわけ、近年注力していたのが東南アジアでの金融事業だったが、風雲急を告げる状況のようだ――。
そんな同社の動向を、独立系の企業・経済情報サイト「アウトサイダーズ・レポート」を主宰し独自の分析を発信するジャーナリストの半田修平氏が本誌「ZAITEN」2020年6月号(5月1日発売)で報じている。題して《Jトラスト「アジア投資」が逆噴射の危機》。以下はその冒頭部分である。
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東大医学部保健学科卒の藤澤信義率いる東証2部上場のJトラストに暗雲が垂れ込めている。
2013年、14年3月期は連続して100億円超の営業利益を上げ、時価総額も一時4000億円を超えたが、その後は巨額赤字を連続し、株価は凋落。現在の時価総額は250億円(4月20日終値)に低迷している。問題は海外投資の失敗だ。既存の金融事業セグメントはピーク時より規模は縮小しているものの40億円弱の黒字を維持しているが、海外事業が毎年、既存事業の黒字を食い潰す巨額赤字を垂れ流している。
タイ金融会社で相次ぐ訴訟
Jトラストが海外投資に乗り出したきっかけは13年7月に実施した巨額のライツオファリングである。これは既存株主に新株予約権を無償で割り当て、行使を促して資金を調達するもの。当時、持ち株比率47%の株主だった藤澤が率先して行使し、約1000億円の調達に成功した。このうち145億円を整理回収機構への借入金返済に回し、14年9月に約150億円で韓国のSC貯蓄銀行(現JT貯蓄銀行)を、11月に約400億円でインドネシアのムティアラ銀行(現Jトラスト銀行)を買収した。そして15年3月から17年3月にかけて、タイで小口金融を営むグループリース(GL)の転換社債に2億1000万ドル(約230億円)を投じた。
だが、GLへの投資は完全な失敗と言える。GLはタイの上場企業であるから、Jトラストは転換社債の評価を社債部分と新株予約権部分に分けて認識することで、GLの株価が上昇すれば利益が出る仕組みにした。これで16年3月期は26億円の評価益を計上。17年3月期も第3四半期までは46億円の評価益を出していた。
ところが17年3月頃に、GLの監査法人が一部の取引に疑義を呈したことでGLの株価が下落。一転して31億円の評価損を計上することになった。そして、同年10月にはGLの代表がタイ証券取引監視委員会に告発された。
そこでJトラストは一計を案じる。......
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続きは現在発売中の6月号をご購入の上、お読み頂きたい。
【6月号詳細・購入ページ】
http://www.zaiten.co.jp/latest/2020/04/zaiten-20206.html
なお、半田氏は自身のアウトサイダーズ・レポートでも特報しているので、是非ともそちらもご覧頂きたい。
【アウトサイダーズレポート】
金融グループJトラスト、アジア投資の「負の連鎖」(1)タイ転換社債「Gloup Leas」で訴訟戦術が裏目、短期利益追求で巨額損失 中経を重視か